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経済学科の根本敏則教授が衆議院国土交通委員会に出席 トラック運転手の労働環境改善を訴える


4月5日(金)の衆議院国土交通委員会で、経済学科の根本 敏則 教授が参考人として出席しました。国土交通委員会では現在『2024年問題』に対応した法改正について話し合われています。2024年問題では、4月1日より、トラック運転手の残業時間が年960時間に制限されることで、1人のドライバーが働ける時間が減るために、荷物が届きにくくなるなどの問題が懸念されています。そのため、トラック運送会社は追加で運転手を募集する必要がありますが、トラック運転手の労働環境が悪く、なかなか人材を確保することができていません。

衆議院国土交通委員会での質疑の様子

根本教授は国会で、トラック運転手の労働環境を悪化させているのは、多重下請構造と店着価格制にあると指摘しました。多重下請構造とは、発荷主と元請事業者が運送契約を結び、2次、3次、4次の下請に実運送を依頼する商慣行です。下請事業者に依頼する度に10%程度の手数料が引かれ、それが2重?3重に引かれることで、実運送する会社には少ない運賃しか払われないことになります。店着価格制では、運送費用が商品価格に含まれており、着荷主は運送契約の内容(付帯業務の有無など)を知らされません。また、運送契約内容は下請けの運送会社にも知らされないことが多いため、着荷主から荷待ちや荷役を要請されたときに断りづらい状況を生んでいます。

そのような状況を改善するために、根本教授はトラック業界の労働生産性を高めることが重要だと説明しました。これまで、デフレ下では荷主は利益を出すため、支払運賃の削減に努めて来ました。そして、運賃が下がることで、トラック運転手の賃金も下がってしまいました。この流れを逆転させトラック運転手の賃金、そして運賃を上昇させなければならないと言います。

例えば、物的労働生産性を25%上げることができれば、労働時間を20%減らせます。また、これまでの運賃を収受できれば、労働時間が短くなっても同じ賃金は確保できますが、他産業並みの賃金にするため、若干の運賃の値上げは許容いただきたいと思っています。燃料代などの上昇もあり、20%から30%の運賃値上げが必要との専門家の指摘もある中で、10%程度に運賃値上げを押さえられれば、荷主も納得するのではないでしょうか。

また、新しい法案には、元請事業者に実運送体制管理簿を作ることを義務付けています。誰が実運送を担うのか明記されるため、発荷主は自らが払った運賃が多重の下請事業者に渡ることに気付きます。実際に荷物を届けてくれる運送会社とドライバーに思いをはせることができるので、多重下請構造を見直す機運が生まれます。荷役時間や荷待ち時間についても荷主がその時間を記録して責任をもって管理する体制を構築し、トラック運転手が運送契約内容を書面で確認できるようになれば、荷役作業などについて別の料金として請求できるようになります。

これまでトラック運転手にとって大きな負担となっていた荷待ちと荷役を4割削減できれば、およそ6億トンの輸送能力増強を見込めると根本教授は試算します。鉄道貨物やフェリー、トラックの中継基地などを有効に活用していくことで、トラック運転手の労働環境を改善しつつ貨物輸送能力を維持していくことができるでしょう。

報告:IR?広報室