経済学科2022年度卒業論文報告会を開催しました
2/15(水)、経済学科の卒業論文報告会をオンラインにて開催しました。経済学科では卒業論文を執筆します。世の中から課題を見つけ出し、情報を集め、分析し、結論を導き出すことが求められます。4年間で学んだ経済学などの知識や調査方法などのスキルを総動員した、まさに集大成です。
今回は、報告会で発表した2人の論文を紹介します。同じ経済学科の学生ですが、対象もアプローチの仕方も異なります。
今回は、報告会で発表した2人の論文を紹介します。同じ経済学科の学生ですが、対象もアプローチの仕方も異なります。
横浜中華街が抱える課題と対応策 経済学科4年山下さん
横浜中華街が悪質な客引きや飲食店営業が横行して、観光地としてのイメージが悪化していることを懸念した山下さん。観光地としての質を維持するための政策を提言しました。自らの足で中華街の現状を写真に収めるなど、多くの現地調査を含んだ研究です。
山下さんは横浜中華街の成り立ちから調べ、直近20年間では、ビザ発給基準の緩和により安定的に横浜市中区の中国人人口が増えていることを指摘しました。併せて、横浜中華街発展協同組合に質問状を送り、街づくり協定に違反した店舗への対応方法について回答を求めました。協定に参加していない店舗への指導は、「お願い」に留まっている様子がうかがえます。
在日中国人の生活地域と日本人向け観光地が共存していることが原因であると考えた山下さんは、街づくり協定における横浜中華街の範囲から在日中国人の生活地域を除き縮小?再制定することを提言しました。縮小?再制定されれば、パトロールがより充実するなどの効果もあります。他にも中華街における営業基準を強化することにも言及し、質の高い観光地となるための提言をまとめました。
成田空港の現状及び課題―空港周辺地域の活性化に向けて
経済学科4年五十嵐さん
五十嵐さんは成田国際空港周辺の市町村で生まれ育ちました。航空物流業界に興味をもち、就職活動を行う傍ら、成田国際空港周辺の地域特性を研究していきました。千葉県経済に非常に大きな貢献をしている成田国際空港ですが、コロナ禍において海外からの旅行客が減少し、地域経済や雇用に大きな影響を及ぼしていることに問題意識を感じてきたそうです。
2022年現在、成田国際空港の国際線旅客数は前年比477%と大幅に伸び、回復兆しが見えてきました。一方で、貨物便はコロナ禍前を大きく超え、2019年比178%と非常に需要が高まっています。そうした状況に成田国際空港が対応できていないのではないかと五十嵐さんは訴えます。空港貨物がコロナ禍以前よりも増加しているのにもかかわらず、貨物用の倉庫が計画的に設置されておらず、道路整備も追いついていないため、空港周辺道路では貨物車と空港へ通勤する自動車によって慢性的な渋滞が発生しているとのことです。新たな圏央道が開通予定ですが、空港周辺には集客を見込める施設が無いため、商業地域の確保が課題です。
五十嵐さんは、コロナ終息後の旅客数を見据え、近隣市町村と空港ターミナルを結ぶ新たな交通システムを整え、かつ産業振興を施すなど、空港の経済波及効果を住民が実感できる施策が必要ではないかと発表しました。
2人は発表後、教授陣からの質問にも的確に答え、両名とも卒業論文報告会の最優秀賞を受賞しました。問題意識を高く持ち、真摯に卒業論文に取り組み、提言まで至ったことが評価されました。2人には賞状と盾、副賞が与えられます。経済学科の学生は、卒業研究で課題解決能力がさらに磨きがかかったはずです。卒業後の皆さんの活躍を期待しましょう。
報告:IR?広報室
報告:IR?広報室